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悪魔を呼び出す方法 [洒落にならない怖い話29]

昔俺は横浜に住んでたんだけれども、俺が厨房の時の話。親父が教会の神父やってたの。
神父にしては結構ざっくばらんな性格で、結構人気もあったんだ。
まぁ俺なんて信心深いほうじゃないし、一家の
決まり事と言えば、食事の前に軽く祈るくらい。んで割と平穏な日々が続いてた。
ある日、姉貴がアンティークショップでファッション雑誌くらいの大きさの、
古書を買ってきたんだ。この姉貴が結構なオカルトマニアで、その手の物に目がないわけ。
何か買ってくる度に親父は、
「聖職者の娘がこんな趣味に走って洒落にもならん」
的な事を愚痴ってたんだ。中には数点、結構やばい物もあったらしく、親父が
「これは今すぐ返して来い、処分しろ」
と注意する事も度々あった。
今回買ってきた物も、どうやら洋書のオカルトめいた本らしかったんだ(姉貴は英語堪能)。
早速買ってきたその夜、俺と姉貴(俺も無理やり付き合わされた)で、
「悪魔を呼び出す方法」ってのをやってたんだ。30分くらいやってたかな。
特に何も起こらなかったので、興冷めして2人でTVでも見る事にした。
んで夜になって、家に親父が帰ってきた。開口一番、
「何だこの獣の匂いは?犬でも連れ込んだのか?」
そう言うと、姉貴の部屋から匂いがすると言って、部屋に入るなりその洋書を見つけた。
「00子(←姉貴の名前)、ちょっと来い!!」
親父は凄い剣幕で怒鳴り、姉貴と俺は急いで姉貴の部屋へ向かった。
「…00子。お前これがどんな物か分かってるのか?」
「いや…ただの交霊術の本でしょう?」
「馬鹿野郎!!この本のカバーは本物の人皮だし、書いてある事は全部邪悪な黒魔術だ!!
 良いか?ただの黒魔術の本なら対して害はないが、これは恐らくアンチキリストの
 教団か人物かが本気で呪いを込めて作った本だ。普通人皮なんて本当に使おうなんて
 思うヤツは滅多にいるもんじゃない…すぐに処分する!!」
そう言うと親父は、本を取り上げて家から少し離れた教会へと戻って行った。



753:その2:2006/05/09(火) 15:25:35 ID:vLr5R34S0
1時間ほどして親父は家に戻ってきた。
「獣の匂いがまだ消えてない…お前ら、まさか本に書いてある事を何かやったか?」
姉貴が渋々白状すると、親父の平手打ちが飛んだ。親父の暴力は初めて見た。
「オカルトにはまるのは別に良い。だが自分が実行してどうする!!
 お前は賢い子だから、知識を得るだけで満足出来る子だと思っていたが…」
そう言うと親父は、泣く姉貴に、明日0輔(←俺の名前)と一緒に教会に来なさい、
と言ってその日の話はそれで終わった。その夜の事。トイレに起きた俺がボーッとしてると、
誰かが家の中を歩き回る音が聞こえた。親父か姉貴だろ、と思い大して気にしなかった
んだけど、玄関のチャイムが鳴った。3回。夜中の3時過ぎだ。こんな時間に尋ねて来る
人なんていない。俺は玄関に見に行ったんだけど、誰もいない。
部屋に戻ろうとすると、今度はトイレの「内側」から3回ノックの音が。すぐさま
調べたが、誰も入ってない。今度は台所から「ピシッ」という乾いた音が3回。
流石に怖くなってきた所、親父が2階から降りてきた。
「悪魔は、3と言う数字を好んで使う。心配するな。まだ(進入段階)だから。
 (制圧段階)に移る前に…」
「ぎゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
親父の言葉を遮るかの様に、2階の姉貴の部屋から絶叫が聞こえた。
俺と親父は急いで姉の部屋へと駆け上がった。ドアを開けた。姉がいた。
一瞬、何なのかよく分からなかった。姉貴の様な姉貴の様でない物がいた。
姉貴はベッドに座ってこちらを見ていたが、何かがおかしかった。
数秒経って気がついたんだけど、目が全部黒目だった。舌を出していた。
長すぎる。わけのわからない言葉でわめき散らしていた。
「進入段階をこんなに早く終えて制圧段階に移行するなんて…0輔!!
 00子を今すぐ教会に連れて行くから手を貸せ!!」
親父の命令で俺は、姉貴が暴れて傷つかない様に手足を縛り、姉貴を担いで
車庫に置いてあるランクルへと急いだ。車内でも姉貴は暴れに暴れ、取り押さえるのが
やっとだった。運転する親父に俺が
「取り憑かれたの??」と聞くと
「そうだ」と言い、
「叫んでるこれ、何語??」と聞くと、
「正確なことは言えんが十中八九、ヘブライ語」
と答えた。



755:その3:2006/05/09(火) 15:29:11 ID:vLr5R34S0
教会に向かう途中、ランクルで3回黒猫を轢いた。信号が青になったばかりなのに、
すぐ赤に変わったりした。3回エンストした。親父は冷静に運転し、何とか教会についた。
暴れまわる姉を、教会の椅子に縛り付け、親父は奥の部屋から色々な道具を持ってきた。
「まさか映画とかでやってるような悪魔祓いやんの?やったことあんの!?」
「1度だけある」
「成功したの?」
「その時1人じゃなかったんで、上手くいったと思う…」
「俺に手伝える事は」
「人間の霊じゃないんだから、迂闊な事はするな。00子の後ろに立ってろ。
 もし万が一ロープを引きちぎったりしたらすぐ押さえつけろ」
そういうと親父は、よく映画で見るような「父と子と精霊の~」的な事を読み上げて、
姉貴に聖水を振り掛けたりしていた。聖水が顔にかかる度に、姉貴は凄い形相で吼え、
「あの女が承諾するからいけないんだ(イエスを身ごもったマリアの事?後で親父が教えてくれた)」
とか、
「あいつが死んだりしなければ俺たちは王になれたんだ(死んだイエスの事?これも後で親父から)」
などと叫んでいたらしい(ここは何故かラテン語だったそう)。
30分ほどたっただろうか。ふと姉貴が我に返った様に
「お父さん、助けて!!」
と叫ぶようになった。俺が姉貴に近づいて話しかけようとすると、
「エクソシズムの最中に、悪魔に話しかけるな!!00子かも知れんし、
 悪魔かも知れん。無視しろ」
と親父が注意した。
そして、親父は必死に悪魔の名前を聞き出そうとしていた。名前が分かれば、悪魔の力が
激減するらしい。親父も俺もビッシリ汗をかいていた。姉の口からは糞尿の匂いがした。
「汝の名を名乗れ!!」
「lmvdじthつbhbんgfklbんk(←意味不明な言葉)」
「聖なんとかかんとか(←うろ覚えすまん)の名において命ずる、汝の名を名乗れ!!」
「い一ーーーーーーーーーーーっいっいっいーーーーっ」



756:その4:2006/05/09(火) 15:30:23 ID:vLr5R34S0
親父が、聖遺物のキリストが死後包まれた布の断片(親父も本物かどうかは
知らんと言ってたが、効果があったので聖なる物には間違いないかも)を姉貴の
額に押し付けたとたん、黒目の姉が椅子をロープごと引きちぎって叫んだ。

「お  前  ら  は  8  月  に  死  ぬ  !  !」

それと同時に、教会の窓という窓が
「コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ」
と鳴り出した。何かと思って見たら、窓の外にカラスがビッシリ。嘴で窓を
つついていた。この真夜中にカラスが一斉に行動するなんてありえない。
流石に限界だった俺は、多分眠るように気絶したんだと思う。

気がついたのは深夜の緊急病院。どうやら姉は脱臼してたので、あの後すぐに
親父が病院に連れて行ったらしい。俺は軽い貧血と診断されたようだ。
「姉貴に憑いてたヤツはどっか消えたの?」
「ああ、今のところはな」
「また来る?」
「来るかもしれんし、来ないかもしれん。あっちの世界に時間軸はないから」
「8月に死ぬ、って怖くない?」
「思ったより短時間で済んだんで、そんなに強い悪魔じゃなかったんだと思う。
 下級なヤツのつまらん捨て台詞だ。気にすんな」



758:終わり:2006/05/09(火) 15:31:24 ID:vLr5R34S0
「結局の所、悪魔ってなんなの??」
「分からん…分からんが、ああいうのがいる事は確かだ。1つお前に言っておく。
 今回はまだ憑依の途中だったんで、00子の人格がまだ残ってたから
 上手く言った。将来お前が神父になるとは思わんが、もしも(完全憑依)された
 ヤツに出会ったら、その時は…」
「その時は?」

「逃       げ       ろ       !      !」

その後、姉貴にも俺にも変わった様子もなく、8月に家族の誰も死ぬ事もなく、
普通に暮らしていた。3年前。出来ちゃった結婚で姉貴が結婚した。
その子供の体に666の刻印が…なんてオチはないが、3歳になった息子が
先日妙な事を言ったのだと言う。

「ママ、海に行くのは止めようね」

と。



760:本当にあった怖い名無し:2006/05/09(火) 15:33:17 ID:RUIgpFpr0
GJ 面白かった

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田んぼ道 [洒落にならない怖い話29]

全部が実話じゃないけどごめんね。

ある夕方。彼は学校帰り、田んぼに沿っている静かな道を歩いていました。
ずっと向こうに黒いワンピースを着た女性が立っているのが見えます。二人のほかには誰もいません。
女性の肩は不自然なところまで上がっており、腰の部分には極端なクビレがあります。極め付けに、なんと女性は裸足でした。
恐がりの彼は不気味に思い足を止めました。すると、今まで立っていただけの女性が動きだします。
しかし普通の動きではありません。なんとその女性は、スキップをしているのです。ゆっくりと、彼の元へと近づいてきます。
彼はただならぬ恐怖感に襲われました。だんだんと近づいてきたため、女性の顔がはっきりと見えるようになりました。

なんとその女性には、眼球が存在していませんでした。黒い穴が開いたような目の部分。恐怖が倍増します。
来るな、と彼は女性に言いました。すると女性は止まりました。
ほっ、と胸を撫で下ろしたのも束の間。女性は目を大きく開き、いえ、黒い穴を大きく広げ彼にこういったのです。
「次の人」
すごく冷たい言い方だったそうです。機械のように棒読みでした。
彼は後退りします。やばい。そう思いました。
そして次の瞬間、女性は
「み、つ、け、た!!!」
と叫びました。
言うが早いか、彼は荷物をその場に残して、すぐさま元来た道をもうダッシュで逃げました。陸上部の彼、逃げ足には自信があります。



726:本当にあった怖い名無し:2006/05/08(月) 23:11:03 ID:BfQ2TtxmO
田んぼ道を抜け、ある公園に逃げました。やはりそこにも人はおらず、彼は不安に思いつつも公園の公衆便所の個室に隠れました。

20分くらいそこにいたそうです。もういいだろう。その場を出ようとしたとき、ぺたぺた…。タイルのうえを裸足で歩く音がしました。彼は心臓が止まるかと思ったそうです。
足音が止みました。そして、さっき聞いたあの無機質な声が彼の耳に入りました…。
「去年のあの子もここに隠れたのよ」
去年?あの子?なんのことだ?
彼は考えました。しかし何のことかさっぱりわかりません。
そして女性が一言。
「また迎えに来る」
その声が聞こえた瞬間、彼は気絶しました。

実は去年、彼が逃げこんだトイレで、発狂した少年が見つかっていたのです。
その少年は発見されたときしきりに「オバケがくるよ」と言っていたそうです。
女性が言っていた「去年のあの子」とは、あの少年だったのではないでしょうか、とか私は勝手に思ってます。

田んぼ道は気を付けつくださいね。

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ミイラ [洒落にならない怖い話29]

先達て断っておくが、これは事実か否かはわからない話である。僕個人の見解では、嘘だろうと思っている。

ひょんな事からダ・ヴィンチの人体解剖の話になった。ついで、ミイラの話になった。
「ミイラを作る時は内臓を掻き出さなけりゃならないんだよ。でないと腐るからね」
と友人がさも訳知り顔で言う。
代々と続く薬屋の息子だから、詳しいのかも知れないが、鼻に着く。
「内臓を取り出すだろ、その後脳を出して……」
「切開するのか?」
「いや、耳掻きみたいなのを鼻に突っ込むんだそうだよ。鼻の置くの肉を抉って、そこから脳髄を掻き出すんだとか」
「随分グロいね」
「でも外人も日本人もそれを薬として服用したんだってね。ミイラを薬にしたんだと」
と言って、またも知った風な顔をして話し出す



719:2/3:2006/05/08(月) 22:18:36 ID:QwQr/ONx0
「そのミイラ薬って『何でも治る』とか『不老長寿の妙薬』って宣伝だったんだって。
ミイラって、遺跡にあるものじゃない?でも、そうそうしょっちゅうミイラなんて見付かると思う?
それにエジプトの砂漠だよ?見付からずに野垂れたらたまらないじゃない。
とはいえ、金になる。金は欲しいが、リスクは大きすぎる。ではどうするか?
そこであらわれたのが『ミイラ商隊』。
別にキャラバンでエジプトに死体発掘に行くわけじゃないんだ、もっと簡単な方法を取る事にしたんだよ。
無いのなら、作ったらはやい、ってわけでね。作る事にしたんだって。
誰々が死んだ、という話を聞いたら墓地に埋まるのを待つ。墓地に埋まったらその夜のうちに掘り返して墓を暴く。その死体を盗んで干すんだって。
ところが、エジプトのミイラ職人の様な知識が無いからとりあえず血抜きして、五体を刻んで、内臓を出して天日に晒すんだ。
干物みたいに、時には往来も気にせず肉片を晒したそうだよ。
その商売は大当たりした。だから、次から次にミイラを作った。だけど死人を待ってちゃ埒があかんってなわけで、まぁ、人を殺しだしたわけだ。
何人かでグループを組んで、特に若い男が良いとされていたので、10代の男を殺す。殺したその場で五体を解体し持ち去るんだ。
だから、その場に残っているのは尋常じゃ無い血液だけ。
それがまた手慣れている者達になると、その場で内臓も引きずり出すので、町中に乾いた血液でバリバリになった内臓がポツンと残される。



720:3/3:2006/05/08(月) 22:19:13 ID:QwQr/ONx0
そんなわけで、ミイラ商隊は儲けに儲けた。
だけど利は更なる利を欲すわけで、今度は新商品を作ってもっと儲けようとした。それが『いきのいい新鮮なミイラ』ってのだ。
要するに死体の肉片なんだな。そんなもの常識で考えればわかりそうなものだが、これがまた、売れた。
乾干しになったミイラより、新鮮なのが効くと思ったのかみんなこぞって買ったそうだ。
それが売れ出したら、もう内臓も捨てるはずないわな。んで、脳味噌も。
脳味噌は特に高かったらしい。『新鮮な脳味噌のミイラ』は大いに売れて万能の霊薬として誰もが欲しがったとか。
ところが、すぐにその商売は廃業になってしまったんだ。
一つは、商人達が行方をくらました事なんだが、もう一つは、服用した人間が奇病にかかってしまった事。
その『脳味噌のミイラ』を服用した人間は一時身体はすこぶる軒高になるんだけど、二三日もしないうちに頭痛を訴えるんだ。
それから、嘔吐。と身体機能麻痺。それから痴呆。
最初のうちは液状のものを出すんだけど、しまいには豆腐の様な塊をぼろぼろと吐き出す。
吐いても吐いても止まない程、ぼとぼと、と灰色がかった血色混じりのものを吐く。
そのうち身体は動かず、阿呆みたいなって死んでしまう。
もうわかってるとおもうけど、自分の脳味噌をゲロってたんだって」
「嘘だろー。それは流石に」
「どうだかね。少なくとも、俺は昔からなにかってぇと先祖代々の霊薬として頂いてるけどね。まぁ、乾燥してるんだか成仏したんだか、何とも無いけど」



747:本当にあった怖い名無し:2006/05/09(火) 13:19:25 ID:OAp+cww4O
>>720そりゃあヤコブ病だ。プリオンが原因

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