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「地震で崩壊する土地」は地名でわかる!! ~阪神大震災から20年、データが語る地名と被害の相関~ [予言予知2]

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から、間もなくちょうど20周年を迎える。午前5時46分という未明の時間帯に起きたこともあり、就寝中に倒壊した住居の下敷きとなり圧死した人も多く、犠牲者数は6,400名以上という最悪の惨事となってしまった。

 昨年の記事でも指摘したように、地盤が弱い土地に住むと、大地震が起きた際に住居が倒壊するリスクが高まる。阪神・淡路大震災では、かつて海や川だった地盤の弱い土地で、建物や高速道路が倒壊するケースが圧倒的に多かった。「環境考古学」に携わる立命館大学教授の高橋学氏は、神戸周辺の旧河道、つまり昔は川が流れる道筋だった場所を示す「旧河道図」を作成しているが、死者の約8割は、この旧河道上で亡くなっていたことも判明している。本来このような土地は、人が住むべきではない土地なのだ。

 では、私たちはどのようにして地盤の良い土地と悪い土地を見分ければよいのか。実は、ひとつのカギは“地名”にある。今回は、地盤がいかに人々の生死を分けるのか、阪神・淡路大震災の実例を示した上で、来たるべき首都直下地震に向け、注意すべき“地名”について考察を進めることにしたい。


■被害は地盤が左右する

 さて、阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた神戸市では、前述のように地盤の良し悪しが人の生死を左右するケースが多かった。先月7日、神戸市が当時の被災状況を記録した写真データ約千点を無料で提供するWebサイト「阪神・淡路大震災『1・17の記録』」を開設している。このオープンデータから、建物に大きな被害が出た土地の例を紹介しよう。

それに対して、三宮駅西側のチャイナタウンがある南京町に旧河道はなく、砂堆(さたい)という乾燥した地質となっており、古い民家も倒壊せずに残ったところが多かった。上がその南京町の写真だが、石像が倒れるなどしているものの、確かに建物の倒壊などは見られないようだ。

 これは、世界中に衝撃を与えた阪神高速道路の高架部分が倒壊した光景だ。前述の高橋学氏によれば、このように特に大きな被害を受けたのは、軟弱な地盤とそうでないところの境目だったという。そして写真の場所は、東灘区の深江本町。「江」という字が海辺を思わせる町名だが、その名の通り、阪神高速道路は海沿いを走っているのだ。


■要注意の地名とは!?

 以上を踏まえた上で、ここから話の本題に移ろう。一般的に地名は、その土地の形状を表したり、歴史的事件を前提に名付けられたものが多い。地震・津波・洪水などの自然災害が起きたところでは、そのことを後世に伝えるべく警告として命名される例も少なくない。そのような過去の災害の履歴を表す地名を「崩壊地名」と呼ぶ。

 たとえ今は海・川・沼などが近くになくても、“水”に関係した漢字が含まれる地名は、水辺に関連した地質であり、地盤が弱い危険性がある。具体的には、「川」「河」「江」「沢」「瀬」「浦」「池」「沼」「袋」「泉」「井」「汐」「潮」「浜」「洲」「須」「田」や、その他の“さんずい”が付く漢字などで、これらが地名に含まれる場合、かつて水場だった可能性を排除すべきではない。


■首都直下地震で危ない土地

 さて、いつ首都直下地震が発生してもおかしくないとされる昨今、首都圏に住む人間にとっても、この“地名”と地盤の関連は決して他人事ではない。次に、東京都内で軟弱地盤と思われる地名の例をいくつか紹介したい。

・ 渋谷(渋谷区)と四谷(新宿区)
 まず、「渋谷」や「四谷」などに見られる「谷」は、その名の通り谷地形を示しており、かつては川が流れていた土地である。渋谷には宇田川町という地名も残っているが、地盤が弱い場所が多いことをうかがわせる。前述の高橋学氏によると、大地震が起きた時にいちばん危険な場所は、もともと海だったところで、次が谷だという。

・ 浅草と吉原(台東区)
 谷川影英著『地名に隠された[東京津波]』(講談社)によると、「浅草」は浅瀬の川沿いに草が茂っていたという解釈が妥当だろうという。川沿いに草が生えていたということは低湿地であり、地震による大規模な液状化が懸念される。そう、「芦」「葦」「菅」「蒲」「荻」「蓮」「鴨」「鶴」「亀」など水辺に見られる動植物が付く地名も、要注意なのだ。台東区の「吉原」は、かつて「葦原」だったとされており、ヨシ(アシ)が生い茂る低湿地であることを示す。

・ 海抜ゼロメートル以下の地域(江東区、墨田区、葛飾区)
 東京はそれほど大きな津波に襲われることはないと思われがちだが、2011年の東日本大震災の時でも、3メートル近い高さの津波が東京湾に到来していた。全国で海抜ゼロメートル地帯が広い都道府県を挙げると、愛知、佐賀、新潟、東京の順となる。しかも東京の下町には、江東区、墨田区、葛飾区のように海抜がマイナス数メートルとなる土地さえ存在しており、震災時に堤防が決壊すれば、浸水で壊滅的な被害を受けることになる。この地帯は明治時代までは水田が広がっていたところで、ここも本来は、人が住むに適した土地ではなかったのだ。

・ 築地と月島(中央区)
 埋立地も液状化が強く懸念される軟弱地盤である。そして、これも地名で判断できることが多い。中央区の「築地」は、その名の通り人工的に築かれた土地だ。「月島」も本来は「築島」であり、同様に埋立地を意味する。江東区の「砂町」は、かつて砂浜だったと推測され、液状化の起きやすい軟弱地盤であることが疑われる。それに加えて「梅」が付く地名は、植物の梅とは関係なく、もともと「埋立地」の「ウメ」だったというケースが多いので、十分な注意が必要だ。(大阪の梅田もまさにその通りで、低湿地帯で泥土を埋め立てて田畑地を築いたことから命名されたものだ)


■地名の安易な変更が、被害を助長する

 こう見てきたように、地名はその土地の“本当の姿”と“過去の災害史”の貴重なデータベースであるといえる。だが、近年では伝統的な地名が、「桜ヶ丘」「緑ヶ丘」「富士見ヶ丘」「◯◯ニュータウン」といった、歴史的にその土地とまったく関係のない地名に変えられてしまう例も多い。イメージを優先させるため、自治体や土地開発業者らが勝手に命名したものと推測される。

 しかし地名とは、自然災害に関する先人たちの経験と知見が詰まったものであり、さらに後世へと継承していくべきものなのだ。日本民俗学の権威である谷川健一氏も、このような風潮を嘆き「行政の都合による安易な地名変更は許せない」と語っている。いずれにしても、新興住宅地などに住む人は、その土地の明治時代以前の名前を調べてみることも必要だろう。

 最後に、今回紹介した地名による災害リスクの判断は、ひとつの目安にはなるが、全ての地名が必ずしも地質によって決まっているわけではない点も指摘しておく。また、たとえ地質を反映した地名だとしても、自分が住んでいる場所の地盤の良し悪しが正確にわかるわけではない。結局のところ、その土地が本当に危険かどうかは、ピンポイントで地盤調査を専門家に依頼するのが最良の策と言えるだろう。

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タグ:地震 予知 予言
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