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洒落にならない怖い話27 ブログトップ
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ロフト [洒落にならない怖い話27]

もう1年くらい前になるかな。
ある日、いつものように夜寝てたらクスクスと言う女の笑い声が聞こえてきたの。
テレビも消してたし、マンションの隣の住人が女だったから電話でもしてるのかな程度で
眠いし、夢うつつだったんだが、この殺すような小さな笑い声がずっと続くのね。

しだいに頭も覚醒してきて、ただ目をつむっているだけの状態になったんだけど、
ここでようやく声が自分の部屋から聞こえてくる事に気づいたんだ。
「え?なんで?」と思って目を開てみたんだが、えぇ、そこにありえない存在が居ましたよ。
俺の住んでるマンションの部屋は普通のロフトがあってそこに荷物おいてるんだけど、
ちょうど床に布団敷いて寝ると、俺の目線がロフトの先端になるのね。そんで
そのロフトから若い女が顔半分、鼻の下あたりくらいまでを出して、俺を見下ろしてるの。

完全に俺と目線が合うと、またその女はまた「クスクス」と小さく笑いだした。
「は?泥棒?でもロフトは荷物だらけで人は入れないはず??」
寝起きで頭がうまく回らない状態の俺はしばらくそのまま動けずにその女と見詰め合っていた。
「クスクス」
女は笑いながらながら顔をロフトの奥に引っ込めた。が、すぐにまた顔を出してきた。そして
「おおぉ~~~!?」
マジで俺は今までの人生で一番大きく叫んだ。
女の顔が伸びながら寝てる俺の方に向かってきた。それはろくろ首というよりも顔の最下部、
口の下の顎の部分あたりからニュ~っと伸びてきてる感じだった。



496:本当にあった怖い名無し:2006/06/22(木) 07:29:19 ID:5hWfxoqD0
俺は速効飛び起きて、近くにあった少し長めのテレビのリモコンを握り締めると
もうすぐそこまで来ていたその女の顔めがけて振りぬいた。
その瞬間、女は煙のようにモワッなったように見えて、そして消えた。
んでこの時テーブルに置いてあった空のコーラ缶が何故か倒れた。
その後はロフトを覗く勇気も無く、その日は朝まで電気点けて起きた。

朝になったら会社に電話して半休貰って、午前中に近くの寺に行って無理いって坊さんに
軽くお経唱えてもらい、さらにお手製のお札も束と言えるくらい貰った。
家に帰ると早速坊さんに言われた通りに窓や玄関、トイレや風呂の扉という扉にお札を貼り、
最後にロフトへお札を貼るべく、ロフトに置いてあった荷物を全部降ろした。
今まで気付かなかったが、そこには少しだけ、水溜りみたいな染みのようなものがあった。
すぐにロフトには5枚のお札を貼り、今に至るまで何事も無く暮らしてます。

あの時は頭が回らなかったけど、今にして思えば別段金縛りとかもなかったし、
普段よく怖い話系で聞く「気絶して起きたら朝だった」とかそんな気配もまったく無かった。
てかあの時そんな都合良い事は俺にはそうそう無理に思えた。
まぁたしかに心臓は発作起こすんじゃないかってヤバイくらい高鳴ってたけどね・・・

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地下道 [洒落にならない怖い話27]

俺が7~8年前に体験した話。

当時俺は大学の二部学生(夜間ね)で、いつも大学が終わるのは9時過ぎだった。
その日は帰りに本屋に寄って、長々と立ち読みして
本屋出たのは11時を過ぎていた。
んで、自転車をこいで帰りを急いだ。
いつも通る地下道の入り口が見えて来て、中に黒いワンピース着た女の人が入っていった。
こんな時間にここを人が歩いてるなんて珍しいな
とか思いながら俺も地下道に入っていった。が、さっき見た女の人はいなかった。
女の人が入ってから俺が入るまで、そんなに時間はたっていない。
地下道は200m位ある。例えその女の人が走っても出られるほどの時間はたっていない。
その瞬間、俺は怖くなって全速力で地下道を抜けた。
後ろを振り返ったらなんか居そうな気がして、振り返れなかった。



493:本当にあった怖い名無し:2006/06/22(木) 04:52:14 ID:pb4TByjIO
んで後日談みたいなもの。

一年位経って、地下道で見たのは幻覚だと思うようになった。別に心霊スポットでもないし。
まあビビりだから通ることは無かったけどw。
弟が買って来た東北怨念地図って本、借りて読んでたら
あの地下道での他の人の体験談が載っていた。
内容は俺が体験したのとほぼ同じ。
ただ違うのは、その人はバイクに乗ってたってことと、
後ろを振り返ったこと。
後ろには女の幽霊が乗ってたこと。

長文スマソ。
振り返んなくてよかった。

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キスマーク付きの千円札 [洒落にならない怖い話27]

深夜のコンビニでの仕事の一つに、売上金の計算と送金作業がある。
レジおよび回収箱の中に入った金が幾らか計上して、銀行や郵便局に送る作業である。
そんな中で紙幣や硬貨を数えている時に、「よくこんなモノをレジに出す気になるよなあ」
と思ってしまうブツを良く見るのである。
錆び付いて数字が読めない十円玉であるとか、所々破けてテープ塗れの千円札。
もちろんどんなお金も基本的に受け取りを拒否する事は出来ない訳で、一日に必ず
一つ二つは見るも無残な日本銀行券の成れの果てを手にする事になる訳で。
そんな中で、一番印象に残っているのがキスマーク付きの千円札だった。



432:本当にあった怖い名無し:2006/06/21(水) 20:31:11 ID:EGM3qrJl0
言葉だけではどうと言う事も無いと思うのだが、想像して欲しい。
薄く緑がかった夏目漱石の肖像画。古札である。
裏返すと、向き合った鶴(…だったっけ?)が二羽。
その鶴達の真ん中に、べっとりと赤い口紅で付けられたキスマークだ。
そんなブツがある日、売上金の中に一枚紛れ込んでいた訳で。

見た瞬間に思わず「うあ」と呻いて、何とも気持ち悪い事をするなぁ、と思ったものだ。
日本銀行が発行して以来、恐らくは何百人もの手を渡り歩いてきた紙幣だ。
後ろ向きに考えれば、どれだけの手垢、細かいゴミが付着しているか知れたモノでは無い。
そんな紙幣に、口付けをしてしまう事情がまず想像付かないし、それを人前に出す神経もちょっと解らない。
そんな事をあれこれ思いながら改めてその紙幣を見てみる。
地味な色の紙幣の山の中、不気味に鮮やかな色合いの紙幣は、どこか毒性の動物を想像させる。
「嫌だなあ、さっさと郵便局に引き取ってもらおうか」
そう思って、その紙幣は送金袋の中に突っ込んだ。
これだけなら、まあ「世の中には気持ちの悪い事をする人がいるなあ」で済んだ話だ。



433:本当にあった怖い名無し:2006/06/21(水) 20:34:07 ID:EGM3qrJl0
しばらく経った、やはり深夜の同じ作業中。
「うあ」
再び、同じ紙幣が出てきた。
え?
なんで?
軽い混乱に襲われた。
この紙幣は、確かにこの前、郵便局に送金したはずだ。
こんな紙幣をお客さんに出す訳には行かないのはコンビニも郵便局も変わらない訳で。
その同じ紙幣が、数日経たとは言え、なんで同じ店から出てくるんだ?
鮮やかな色の口紅は、何だか笑っているように見える。
とてつもなく嫌ぁな気持ちになりながら、とにかくその紙幣は前回同様に送金袋に突っ込んだ。

三度目は十ヶ月ほどブランクを空けてから来た。
そういえば去年、あんな事があったなあ。でもまあ、タチの悪い偶然だったんだろうなあ。
そう思い始めた矢先の出来事だったから、見つけた瞬間は思わず凹んだ。
正直、虚空に向かって「何でやねん!」と小さく叫んだ僕もハタから見るとちょっと恐かったかもしれない。
キスマーク付きの千円札。
見れば見るほど不気味なブツであり。
持っているだけで不幸になりそうな、そんな予感がある。
どう始末を付けたかは、過去二回と同様である。



434:本当にあった怖い名無し:2006/06/21(水) 20:38:01 ID:EGM3qrJl0
「お金に呪いとか何か込められるのかねぇ?」
ある日、久しぶりに友人に会った時世間話的に尋ねてみた。
キスマークの千円札が出てきた前後に自分や店に不幸があった訳ではないが、
明らかにあの紙幣は意思を持っているように感じたのだ。
そして、アレに意思があるとしたら、それは決して「よいもの」では無いと思うのである。
この友人は高校時代から勉強そっちのけで様々な雑学を憶える事に励み、ちょいオタな仲間達から
「雑学王」「ある意味クレアバイブル(※異界黙示録。ライトノベル『スレイヤーズ』を参照のこと)」
と呼ばれ恐れられたり恐れられなかったりした男である。
「聞いた事無いけど、出来たとしてもしょうがねぇよなぁ」
「しょうがない?」
「人間に食べられる為に殺される動物達の霊はどうなってんだ、って疑問と一緒でな。
在ったとしても、何の手立ても無い訳だしさ」
家畜の霊が恐いから肉食を止める事は出来ないし、呪われたお札があるから
お金を使うのを止める訳にもいかない、と言う事か。
「考えてみると金ってやつは、確かに呪いとかには便利だよな? 赤の他人同士が、
やり取りするのに何の疑問も抱かないのは、これぐらいのモンだし」
「いや、そうでも無いだろ」
友人はちょっと考えてから返答してくる。



436:本当にあった怖い名無し:2006/06/21(水) 20:40:38 ID:EGM3qrJl0
「赤の他人同士簡単にやり取りするんだから、呪いたい相手がいつまでその紙幣を持ってるのか
解らないんだぞ? 仮に誰かがお前のコンビニを呪いたいからってそんな事をしたとして。
実際、一日経たずに紙幣は郵便局に送られちゃってるんだしさ」
古戦場から出てきた鎧兜や、廃屋から掘り出した鏡みたいにはいかないか。
確かにそうだよなあ。
「まあ、誰でもいいから呪いたい、って話なら別だけど」
「………」
……今のご時世、そんな奴普通に居そうでヤだなあ。
「あー、まあ、その紙幣に呪いがかけられてるって話自体、飛ばしすぎじゃ無ぇの?
どっかのアホなホステスか何かが、酔っ払ったあげくにアホな事をしただけ、って可能性が
一番高いって言うか、多分そうだろ」
でも、では何故あの紙幣はウチの店に何度も何度も、やって来るのか。
「紙幣ナンバー、憶えてるのか?」
「は?」
「同じ紙幣なのかな、それは」
思いもよらなかった事を言う。
確かにナンバーは控えていない。て言うか誰も控えないだろいちいち。
「郵便局だって、一回位はそんな汚れた紙幣をお客さんに間違って出しちゃうかもしれない。
でも、それが二度三度続いて、しかもそれが回りまわって同じ店にやってくるってのは
確率的にちょっとおかしいだろ」



437:本当にあった怖い名無し:2006/06/21(水) 20:43:05 ID:EGM3qrJl0
「うーむ」
「それよりは、お前の町のどこかで誰かが、そういうキスマーク紙幣を
『量産』して流通にばら撒いている、と。その内の何枚かが、お前の店に何枚か流れてきたと。
そう考える方が、確率的にはおかしくないんじゃね?」
「うーむ」
確かに、確率的にはそちらの方がおかしくないだろうさ。
でも、お話としてはどうだろう?
女が一人、自分の部屋で口紅を塗っては千円札に鮮やかなキスマークを付ける。
財布の中に入っている限りの千円札に口付けをしていく。そんな光景。
どんな理由があろうとも、それは想像するだにおっかない情景では無かろうか。
「そのキスマークにどんな意味があるのか知れないけど、仮に呪いを込めてるとして」
友人が最後にこう締めくくった。
「そいつはお前や店を呪ってるんじゃ無い。しばらくは『それ』が流通するであろう、
お前の町全体を呪ってるんだと思うよ」

ともあれ、僕が体験した一番不気味な出来事は、僕自身には一切害のないまま幕を閉じた訳で。
キスマーク付きの千円札は、それ以来見かけない。

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