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歯軋り [洒落にならない怖い話24]

俺は登山好きなんだけど、百間平周辺を通る度に、毎回すげぇ濃い霧と雨にやられる。
90年の秋かなぁ、3人で縦走してたんだけど、そん時もすげぇ濃い霧だった。
だだっ広いし、積み重なった石の原っぱみたいなとこだから、マーカー探すのも苦労した。
何も見えなくてすげぇきつかったし、寒くて、サイの河原の中を延々歩く感じ。
途中で、メンバーの一人が急にバテ出して吐き気を訴えたから、小さなケルンのあるとこで小休憩をとることにした。

馬鹿話しながら、ルートを少し外れて、ザックを下ろして石に腰掛けた時、ギィッとでかい音がした。
最初は鳥の声だと思って、クッキーと水飲んで地図とか見ながらぼんやりしてたんだけど、そしたら、また尻の下からギリギリッて音がした。俺は
「あれ?なんだろう?」
と思って、腰掛けてた石の下を覗いたんだ。

結構でかい石がどかどか積み重なってる辺りで、隙間もでかかった。目を凝らすと、奥になんか黒い塊が転がってるのが見える。
なんか気になったけど、手は届かないし、霧がすごくて暗いし、しばらく目が慣れるまで見てた。
そしたら、黒い塊の表面に急に茶色い犬歯がにぃって見えて、その歯がギギッてさっきの音たてた。

その瞬間、背筋が凍った。人の首だった。ミイラみたいな感じで、目がくぼんでたんだけど、そこが細い白い糸でぎっちりと等間隔に縫ってあって、まぶたが震えて動いているのがわかる。歯がぎっぎって音たてた。
俺はマジでびびって、大声あげて仲間を呼んだ。で、代わりに覗かせたわけ。
そしたら、仲間も同じ物が見えて気分悪かった奴は吐きまくって、ちょっとしたパニックになった。

すぐに離れた。そっから、ばててた奴もすげぇ気合い入れて歩いて、霧はひどかったけど、予定よりだいぶ早く小屋に着いたと思う。
で、まぁそのまま小屋に連絡して、遺体は警察が回収。俺は聴取受けてそんだけ。
まぶたが固く縫われてたと思ったのは、うじだったのかなぁと思う。メンバーも俺もその時は絶対に縫われてると思ったけど。

回収した警察からは身元不明の頭骨ってだけ言われた。絶対にそんな事はなかった。あれは肉がしっかりついた頭部だった。
今でもあそこを通るときは雨か霧にやられる。
もう、あまり恐怖心はないけど、覗き込んでしまった、あの顔だけは忘れない。
携帯だし、読みにくくてごめんなさい。




32:本当にあった怖い名無し:2006/11/22(水) 14:21:17 ID:3AUQJ82NO
すんごい怖かった…

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血の匂い [洒落にならない怖い話24]

私自身まだ信じられないことなのですが、実際にこの身に起こった事なので
書き込ませてください。

出身は北陸でしたが私は物心つく前から色々なところを転々としていました
それというのも借金取りに追われているわけでもないのにまるで何かから逃げるように
両親が昼夜問わずで夜逃げまがいの引越しを繰り返している所為でした。
小さな頃から行く先々で除霊師や霊能力者に相談し、
そのたびに首を横に振られていたのを覚えています。

頻繁な引越しに終止符が打たれたのは私が働ける年になったのと同時に
母が病に倒れたからです。心労から来るものでした。父もこれ以上引越しを
するのは無理だと言い、「母さんだけ奴らに渡すわけにはいかない」などと言っていました。
幼い頃何度も引越しの理由を聞きましたが、その話題になるたびに両親が無言になり、
また食い下がれば普段はやさしい母が狂ったように怒鳴るので聞けませんでした。
母が倒れた後、私は理由を聞かずとも悟ることになりました。



623:本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 21:55:20 ID:h1Rdw5lx0
一箇所に留まるようになって半年以上経った頃だったと思います。
始めは気のせいだと思っていたのですが何処からともなく重い金具を引き摺るような
音が聞こえてきたのです。がしゃん、がしゃん、と。それもたくさん。
日に日に近付いてきている事を父に言うと、すっかりやつれた父が
「そうか…お前だけ逃げてもいいんだぞ」と言います。

一箇所に留まる事をしなかった私達家族に帰る場所などなく、私は何があっても
父と一緒に居る事に決めました。その頃母はあまりに暴れると言われ通常の病棟から
重度の精神病患者が入れられてしまう病室に移されていました。
父も見る間に痩せて、いつも何かに怯えるように目をギラギラさせながら過ごす事が
多くなりました。そんなある日の朝、いつもよりも多くあの音が聞こえた日の事です。

父が突然「A子!逃げろ!」と叫んで私をたたき起こし家から追い出したのです。
何がなんだか分からずぽかんとしていると、家の中からあの音が大量に聞こえてきて、
まるで家の中にびっしり鎧武者が歩いているように感じました。
家の中からは血の匂いも漂ってきます。



624:本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 21:56:21 ID:h1Rdw5lx0
切羽詰った父の「逃げろ」の言葉と、その音が怖く気付くと私は
始発電車に乗って隣の市街まで出ていました。
パジャマのまま、しかもサンダルでです。どうする事も出来ず寒さに震えながら灯りのついている
お店に入りました。当然お財布など持っていなかったので、ただ入るだけでした。
日が昇り始めた頃、不審に思ったのか店員さんが話し掛けてきました。
何も言えない私を見て、店員さんは優しく諭しながら暖かい飲み物を奢ってくださいました。

失礼ながら店員さんはパっと見男か女か分からないような方でした。
ただ優しくあと少しで仕事が終わるので
その後警察に連れて行ってくれると言いましたが私は断りました。
警察に行っても意味などないからです。その時またあの音が聞こえました。
逃げようとした私の腕を店員さんが掴んだので驚いて顔を見ると、店員さんも驚いた顔で
私を見ていました。どうやら店員さんにも私が聞いているのと同じ音が聞こえているようでした。

今までそんなことがなかったので驚きと不謹慎ではありますが僅かな嬉しさがありました。
それでも店員さんに迷惑をかけるといけないので手短に話をして離れようとしました。
しかし店員さんは友人になんとかできる心当たりがあると言って私に説得してきます。
今思えば彼が悪人でないという保障はなかったけれど、その時の私は飲み物の温かさと
彼にも音が聞こえたという安心感で何も考える事はできませんでした。



625:本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 21:57:54 ID:h1Rdw5lx0
その安心感を信じた事が私にとっての幸いでした。
彼が紹介してくれたのは彼よりも少し若い男性に見えましたが、彼よりも落ち着いていて、
私を見るなりにっこり笑って「今まで辛かったですね」と言ったのです。
その途端に涙が溢れました。泣きながら今まであったことを告げると少年は無言で頷いて
店員さんに色々指示を出していました
(あまり覚えていないのですが、塩、水、月、という単語が聞こえました)

店員さんは少年にしぶしぶという感じで従いながらも泣いている私を慰めようとしてか
明るい歌を歌ってくれました。気付くと、少年の言う「処置」は終わっていました。
泣きながらその場に居るだけだった私には何を行っていたのか分かりませんでしたが
それが終わる直前に大量の血の匂いと恐ろしいほどの鎧の音が聞こえたのは確かでした。

終わってすぐに私は家に電話をしましたがつながりません。店員さんは学校をわざわざ休んで
私と一緒に家まで来てくれました。
家の中に父は居ませんでした。ただ、昔の人が履くような藁の履物の跡が家中にびっしり
あって、それこそ踏み場もないような状態だったのです。震える私を支えながら店員さんが
家中を探しましたがやはり父はおりませんでした。どことなく血生臭さも感じました。

それ以来私はあの音も、血の匂いも感じません。父はいまだに見つかりませんが
母は暴れるのを止めたらしく近々通常の病棟に移ることが出来、うまくいけば年越しは
家で迎えることができるそうです。
母が退院をしたら、店員さんや少年にお礼をしたいと思っています。
今でもあの音や血の匂いの原因はわかりません。母が落ち着いたら改めて聞いてみようと思います。
長々と失礼致しました。




627:本当にあった怖い名無し:2006/12/03(日) 23:32:02 ID:ShI5WMQ3O
>>625 一気に読んだらテラコワス

真相判ったら教えてね。お母様を大切に…

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渓流釣り [洒落にならない怖い話24]

大学時代に友人から聞いた話。
釣りが大好きだった友人はその日も朝から釣りに出かけていた。
場所は川の上流域で、かなりの山奥である。
ここから先は、友人の語り口調で書かせていただきます。

「車で行ったんだけど、途中からは獣道すらなくてな。
仕方なく歩いたんだよ。かなりの悪路だったな。
崖も越えたし、途中クマが木をひっかいた痕もあったな。
で、やっと釣れそうなポイントにたどり着いてな。
早速、そこらへんの石をひっくり返して川虫を集めたのよ。」
俺「餌ぐらい買えばいいのに。」



131:渓流釣り 2/4:2006/12/01(金) 02:23:31 ID:JMo2loL4O
「いや、現地でとった餌は食いつきが違うんだよ。何よりとるのも楽しいしな。」
俺も現地で餌を調達したことがあるが、あの作業は虫が嫌いな人間にとって
地獄である。それ以来、俺はもっぱらイクラ派だ。
そんなわけで不本意ながら同意し、話の続きを催促した。
「虫を確保して、早速釣り始めたんだ。
そしたら面白いぐらい釣れてな。ものの3時間で十五、六匹は釣れたんだ。
でも朝まずめが終われば流石に途絶えるだろうなって思ってたのよ。」

知ってる人も多いと思うが、釣りは朝と夕方の「まずめ時」が最も釣れる。



132:渓流釣り 3/4:2006/12/01(金) 02:30:54 ID:JMo2loL4O
「けど爆釣モードは昼を過ぎても全く終わる気配がない。
生涯で最高の一時だったね。時がたつのも忘れて夢中になったよ。
気付いたら辺りは薄暗くてな。もう夕方になってたんだ。
身の危険を感じて、帰り支度を始めたんだよ。
ふと背後に気配を感じて振り返ったら、小さい女の子が背を向けて立ってる。
少し近づいて「こんなとこで何してんだい?」って聞いてみたんだよ。
振り向いた顔を見てギョッとしたね。顔がお婆さんだったんだよ。
しかも、顔がひきつるぐらい満面の笑顔だったんだ。」

俺もギョッとした。



133:渓流釣り 4/5:2006/12/01(金) 02:42:35 ID:JMo2loL4O
「でも病気か何かだと思って、同じ質問を繰り返したんだ。
今度は丁寧語でな。
そしたら笑顔を崩さないまま、「いつまで」ってつぶやいたんだよ。何回も。
キチ〇イだったんかなあと思って、軽く会釈して帰ろうとしたんだ。



134:渓流釣り 5/5:2006/12/01(金) 02:46:02 ID:JMo2loL4O
「そしたら、急に婆さんの声が合成音声みたいになって、
「いつまで生きる?」って言ったんだよ。背筋がゾクッとして、
こいつはこの世の人間じゃないと思ってな。
凄い勢いで下山したんだよ。途中、婆さんのつぶやく声が何度も聞こえた。
薄暗い山奥でだせ?発狂寸前だったよ。あ~あ、最高のポイントだったのにもう行けねえなぁ…。」

俺は自分の膝がガクガク震えているのを感じた。
話の途中から友人は気持ち悪いほど満面の笑顔だったのだ。
それからしばらくして友人は自殺した。

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