手招き地蔵 [洒落にならない怖い話16]
これは実際に体験した話だ。地元に手招き地蔵と言われているものがある。
地蔵と言っているが地蔵ではなく、右手を上げた少女の石像だ。
その日、男三人車で肝試しに行く事になった(仮に俺とAとBにしておく。B運転、A助手席、俺は後部)。時間は午前1時を過ぎた頃だろうか…
肝試しと言ってもどこに行くかは決まっていなかった。
俺「どこいく?」
A「どこいこ」
B「どっかあるかなぁ」
・
・
・
5分後
俺「あ!手招き地蔵見に行こう!」
A「何それ?」
B「!?それ知ってる!中学のころ噂になったな!夜見に行くと手を振ってるように見えるんだけど、横に振ってたら帰ってよくて縦に縦に振ってたら・・・。」
A「縦なら?」
B「・・・知らん」
俺「なら確認しに行くか!」
621:『手招き地蔵』中:2008/05/18(日) 07:59:54 ID:d2Mw7KS/O
実はその石像があるのは墓地の中。しかもど真ん中。
敷地内には車が入れるようになっていて石像を回るように円を描いて道が墓地の中を通っている。
ビビりながらゆっくりと入ってく。
入った途端になぜか無言。木々がざわめき始めたように感じたのはこのせいだろうか・・・
ゆっくり。歩くほどの速度で進む。
三人で探すがなぜか見つからず反対側の道に出てしまった。
再チャレンジすることに。
先程より速めの速度だ。
すると今度はすんなり見つかった。
B「あった!アレっ!」
俺「え?どこ?」
A「うぉっ!マジで手振ってるように見える!!」
俺「え?ちょwwどこよ?」
AB「動いてると、墓石の隙間からパラパラ漫画みたいになって手が動いてるように見えるな!そういうトリックか!すげぇすげぇ」
俺は完全に蚊帳の外だorz
二人は満足し、そのままドライブに変更。
興奮状態で噂が本当だったなと喋っていた。
が、
622:『手招き地蔵』下:2008/05/18(日) 08:00:41 ID:d2Mw7KS/O
二人が見た物に違いが発生したのだ!
何かと言うと、Aは縦に降ったように見え、Bは横に降ったように見えたのだ。
おかしいおかしいと騒いでいると
B「横に移動してるから普通は横に降ってるように見えるだろ?」
Aも俺も納得した。
納得したのはいいが、どうしたものか・・・
普通に帰ってこれたから良いか!という事で一件落着した。
これで終わりではなかった・・・
翌日、Aからメールが入った。
『昨日帰って寝ていたら金縛りに合いどこからか軍歌が聞こえてきた。しかも英語。』
といった内容だった。
読み終わった瞬間背筋に寒いものを感じた・・・
なぜなら、少女の石像があった場所の周りは戦争で亡くなった方々の無縁仏だったからだ。
623:本当にあった怖い名無し:2008/05/18(日) 08:02:54 ID:d2Mw7KS/O
ゴメス…
書き直したりしてどうやったらうまく伝わるか頑張ったんだけど全然ダメだわ…
文才が欲しいと思った22歳
624:本当にあった怖い名無し:2008/05/18(日) 09:41:53 ID:oaDIVqK20
>>623
地蔵の話は面白かったけど、いまいちよくわからんな。
地蔵は何体かあったのか?
一体だけなら、なんでパラパラマンガになるのか。
628:本当にあった怖い名無し:2008/05/18(日) 12:01:05 ID:rMRD1sdgO
高さ的に墓石の隙間毎にしか地蔵の姿が見えなくて、
それぞれが切り取られた一枚の画像の様な状態。
それをそれなりの速度で移動しながら連続で見ていると、
パラパラ漫画の原理で繋がった映像に見える。
石像が一体なら、その状態でもただぐるりと回り込んで見えるだけの筈なんだが、
繋がった映像は手を振って見える。
それで像の形や墓石の隙間の幅によってそう見える視覚トリックだろうと思ったら、
動きが見る人によって違った…って事だろ?
面白いな。乙です。
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地蔵と言っているが地蔵ではなく、右手を上げた少女の石像だ。
その日、男三人車で肝試しに行く事になった(仮に俺とAとBにしておく。B運転、A助手席、俺は後部)。時間は午前1時を過ぎた頃だろうか…
肝試しと言ってもどこに行くかは決まっていなかった。
俺「どこいく?」
A「どこいこ」
B「どっかあるかなぁ」
・
・
・
5分後
俺「あ!手招き地蔵見に行こう!」
A「何それ?」
B「!?それ知ってる!中学のころ噂になったな!夜見に行くと手を振ってるように見えるんだけど、横に振ってたら帰ってよくて縦に縦に振ってたら・・・。」
A「縦なら?」
B「・・・知らん」
俺「なら確認しに行くか!」
621:『手招き地蔵』中:2008/05/18(日) 07:59:54 ID:d2Mw7KS/O
実はその石像があるのは墓地の中。しかもど真ん中。
敷地内には車が入れるようになっていて石像を回るように円を描いて道が墓地の中を通っている。
ビビりながらゆっくりと入ってく。
入った途端になぜか無言。木々がざわめき始めたように感じたのはこのせいだろうか・・・
ゆっくり。歩くほどの速度で進む。
三人で探すがなぜか見つからず反対側の道に出てしまった。
再チャレンジすることに。
先程より速めの速度だ。
すると今度はすんなり見つかった。
B「あった!アレっ!」
俺「え?どこ?」
A「うぉっ!マジで手振ってるように見える!!」
俺「え?ちょwwどこよ?」
AB「動いてると、墓石の隙間からパラパラ漫画みたいになって手が動いてるように見えるな!そういうトリックか!すげぇすげぇ」
俺は完全に蚊帳の外だorz
二人は満足し、そのままドライブに変更。
興奮状態で噂が本当だったなと喋っていた。
が、
622:『手招き地蔵』下:2008/05/18(日) 08:00:41 ID:d2Mw7KS/O
二人が見た物に違いが発生したのだ!
何かと言うと、Aは縦に降ったように見え、Bは横に降ったように見えたのだ。
おかしいおかしいと騒いでいると
B「横に移動してるから普通は横に降ってるように見えるだろ?」
Aも俺も納得した。
納得したのはいいが、どうしたものか・・・
普通に帰ってこれたから良いか!という事で一件落着した。
これで終わりではなかった・・・
翌日、Aからメールが入った。
『昨日帰って寝ていたら金縛りに合いどこからか軍歌が聞こえてきた。しかも英語。』
といった内容だった。
読み終わった瞬間背筋に寒いものを感じた・・・
なぜなら、少女の石像があった場所の周りは戦争で亡くなった方々の無縁仏だったからだ。
623:本当にあった怖い名無し:2008/05/18(日) 08:02:54 ID:d2Mw7KS/O
ゴメス…
書き直したりしてどうやったらうまく伝わるか頑張ったんだけど全然ダメだわ…
文才が欲しいと思った22歳
624:本当にあった怖い名無し:2008/05/18(日) 09:41:53 ID:oaDIVqK20
>>623
地蔵の話は面白かったけど、いまいちよくわからんな。
地蔵は何体かあったのか?
一体だけなら、なんでパラパラマンガになるのか。
628:本当にあった怖い名無し:2008/05/18(日) 12:01:05 ID:rMRD1sdgO
高さ的に墓石の隙間毎にしか地蔵の姿が見えなくて、
それぞれが切り取られた一枚の画像の様な状態。
それをそれなりの速度で移動しながら連続で見ていると、
パラパラ漫画の原理で繋がった映像に見える。
石像が一体なら、その状態でもただぐるりと回り込んで見えるだけの筈なんだが、
繋がった映像は手を振って見える。
それで像の形や墓石の隙間の幅によってそう見える視覚トリックだろうと思ったら、
動きが見る人によって違った…って事だろ?
面白いな。乙です。
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違和感 [洒落にならない怖い話16]
いつもロムってるけど勇気出して書き込んでみる。
先に言っとくけど文才皆無です。読みづらかったらごめん
うちの実家は四国なんだけど、小3から高校までは中国地方に住んでた。
その某田舎での、確か中二のときに聞いた話。
私には双子の妹がいる。
まあ田舎で人数が少ないから当然なんだけど、
双子というのは珍しく学校には私たち含め二組しかいなかった。
しかもそのもう一組は同い年で、同じ双子ということもあってか
小学校の時からよくあそんでた。家も近かったしね。
この双子の家は地元の旧家?で、結構でかくて古い屋敷に住んでた。
そして家系か知らんが代々そういうものが見えるらしかった
(らしい、というのは私ら双子が零感だからw)
以下、二人から聞いた話
ある日、弟のほうが部活から帰ってると(兄の方は帰宅部w)、
遠くの方にこちらに向かって女が歩いてくるのが見えた。
女は白いワンピースを着ていた、なんてこともなく、
至って普通の格好だったのでその時は何も感じなかったらしい。
が、だんだん近づいてくるにつれとてつもない違和感に襲われた。
その違和感は女がバス停を横切った時に分った
599:2/2:2008/05/17(土) 22:23:04 ID:ZQDB+vxV0
背がバス停の屋根超えとる
ってことは、あの女3mぐらいある(しかもなんか変な歩き方しとるし…)
部活帰りで疲れてるせいもあり一瞬目を疑ったがやはりそいつはとてつもなくでかい。
その上俯き気味でよく見えんが、こころなしか口元が笑っているように見える。
あまりの気味悪さと恐怖で道を引き返そうかと思ったが、
瞬きをした一瞬の間に女は消えてしまった。
なにがなんやら、もう涙目状態でダッシュで帰宅。大声でわめきながら帰ってきたので、
騒々しさに家の中から出てきてた親父と片割れに事情を話したところ、
ふたりとも「あーあれねw」という感じだったらしい。
話によると兄は既に遭遇済み 親父によるとなんか知らんが前から居ったと。
兄曰く、「気持ち悪いのがきたなーってまじまじ見てたら、
擦れ違う時急に大声でげらげら笑いやがったからびびったよ。化けもんだよあいつw」
だと…おまえまじまじ見んなよwwこええよwww
まあ兄の方は3mは大袈裟だって言ってましたけど。
当時からオカルトに傾倒してた私ですが、
兄の方が急に居なくなり2、3日帰ってこない等この二人といると退屈しませんでした。
スレ汚し失礼。
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先に言っとくけど文才皆無です。読みづらかったらごめん
うちの実家は四国なんだけど、小3から高校までは中国地方に住んでた。
その某田舎での、確か中二のときに聞いた話。
私には双子の妹がいる。
まあ田舎で人数が少ないから当然なんだけど、
双子というのは珍しく学校には私たち含め二組しかいなかった。
しかもそのもう一組は同い年で、同じ双子ということもあってか
小学校の時からよくあそんでた。家も近かったしね。
この双子の家は地元の旧家?で、結構でかくて古い屋敷に住んでた。
そして家系か知らんが代々そういうものが見えるらしかった
(らしい、というのは私ら双子が零感だからw)
以下、二人から聞いた話
ある日、弟のほうが部活から帰ってると(兄の方は帰宅部w)、
遠くの方にこちらに向かって女が歩いてくるのが見えた。
女は白いワンピースを着ていた、なんてこともなく、
至って普通の格好だったのでその時は何も感じなかったらしい。
が、だんだん近づいてくるにつれとてつもない違和感に襲われた。
その違和感は女がバス停を横切った時に分った
599:2/2:2008/05/17(土) 22:23:04 ID:ZQDB+vxV0
背がバス停の屋根超えとる
ってことは、あの女3mぐらいある(しかもなんか変な歩き方しとるし…)
部活帰りで疲れてるせいもあり一瞬目を疑ったがやはりそいつはとてつもなくでかい。
その上俯き気味でよく見えんが、こころなしか口元が笑っているように見える。
あまりの気味悪さと恐怖で道を引き返そうかと思ったが、
瞬きをした一瞬の間に女は消えてしまった。
なにがなんやら、もう涙目状態でダッシュで帰宅。大声でわめきながら帰ってきたので、
騒々しさに家の中から出てきてた親父と片割れに事情を話したところ、
ふたりとも「あーあれねw」という感じだったらしい。
話によると兄は既に遭遇済み 親父によるとなんか知らんが前から居ったと。
兄曰く、「気持ち悪いのがきたなーってまじまじ見てたら、
擦れ違う時急に大声でげらげら笑いやがったからびびったよ。化けもんだよあいつw」
だと…おまえまじまじ見んなよwwこええよwww
まあ兄の方は3mは大袈裟だって言ってましたけど。
当時からオカルトに傾倒してた私ですが、
兄の方が急に居なくなり2、3日帰ってこない等この二人といると退屈しませんでした。
スレ汚し失礼。
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視線 [洒落にならない怖い話16]
実体験を投下します。
長文失礼。
俺がまだ小学生だった時のこと。
その頃俺は、東北地方のど田舎の村に住んでいた。
米どころで、家の前には広大な水田が広がり
そこに水を引く水路が流れるさらさらという音が心地いい場所だった。
そんな俺の家から車で5分ほどの近所に墓地がある。
ここら一帯の農家の先祖代々の墓がたちならぶその墓地は山の中腹にあって
木々が鬱蒼と茂り、昼間でも暗い場所だった。
俺が生まれた頃にはさすがになかったが、
昔は土葬が普通だったと聞かされたことがある。
そんなこともあって、いくら冒険大好きな田舎のガキどもも、
すすんで墓場に近づくことはしなかった。
ある夏。
東京に住んでいた同い年のいとこが、盆休みに俺の家に泊まりに来た。
いとこのする東京の話は興味深くて、俺は熱心に耳を傾け、
またその見返りに、でかいカブトムシやクワガタが取れる場所を教えてやったりして
楽しく過ごした。
親戚一同で墓参りにも行った。
都会のきれいに整備された墓地とは違うおどろおどろしい雰囲気に
いとこは興味をひかれたらしく、目をきらきらさせて
「●ちゃん(俺)、ここなんか幽霊でそうですげーよな!」
などとのたまい、おばさんに不謹慎だと拳固をくらったりしていた。
583:2/6:2008/05/17(土) 18:04:36 ID:aM51ze7e0
その日の夜のこと。
縁側でばーちゃんの作ってくれた氷ぜんざいを食っているとき、
いとこが不意に「墓場に肝試しに行こうぜ」と言い出した。
俺は「やめとこうよ、でないとまたおばちゃんに叱られるぞ」となだめたのだが、
田舎という非日常空間に放り込まれてテンションの上がったいとこは中々聞き入れない。
しまいには「●ちゃんだってどうせこっちの友達と肝試ししたりしてるんだろ、俺もやりたい」
「カブトムシのいるところだって教えてくれたんだから、いいじゃんか」
などと言い出す始末。
引くに引けなくなった俺は友達数人に電話して声をかけてみた。
(電話で仲間を募るふりして、「こっちの奴等だってそんなおっかないことはしない」と
説得してもらうつもりだった)
すると妙な具合に「東京モンに田舎の凄さを教えてやるぜ」と意気込む阿呆が2人も釣れてしまい
肝試し開催があっさり決定。
めいめい懐中電灯を手にウチの玄関に集合して墓場へと出発した。
車で5分の距離でも子供の足で歩けばそれなりに時間がかかる。
その道中は東京のテレビ番組の話をいとこにねだったりして楽しく駄弁っていたのだが
墓場が近づくに連れて段々無言になってしまった。
集落から山の方に入っていく未舗装の小道へ折れた時には完全に喋る気力がうせた。
虫や蛙の声がいやに響いて聞こえる。
暗い。………怖い。
しかしここまで来て「やっぱ怖いから帰ろう」なんてへたれたことは
口が裂けても言えない。
覚悟を決めた小学生4人組は、虚勢を張りつつも小道をずんずん進んでいった。
584:3/6:2008/05/17(土) 18:05:30 ID:aM51ze7e0
そして遂に墓場に到着。
その日はよく晴れて、来る途中は満天の星が瞬いていたのが
ここでは木々に遮られて一つも見えない。まさに真っ暗闇だ。
風もあまり届かず、脂汗と冷や汗があいまって何とも気持ちが悪い。
俺は全力で帰りたかった。
しばらく4人無言でいたが、なけなしの勇気を振り絞り
とりあえず墓場を一周してみることにした。
墓場は結構広く、しかも山の斜面にあるので傾斜がきつく歩きにくい。
しかも土葬時代の名残なのか、
墓石がなく土盛りの後ろに卒塔婆を立てただけの最強に気味悪い墓も結構ある。
あの土を掻き分けてぼろぼろに腐った腕がのぞいたらどうしよう、とかいう想像が
俺の頭の中を駆け巡る。
怖い。怖い。怖い。
しかし、想像に反して墓場は沈黙を保ったままだった。
10分ほどの恐怖の行軍を終えて墓場の入口に戻ってきた俺たちは、
「たいしたことないぜ」「拍子抜けだな」等と
心にもない虚勢を張りながら笑い合った。
「肝試しも終わったし、もう帰ろうぜ」
友達の言葉に全員が頷き、墓場に背を向けて歩き出した、
そのときだった。
585:4/6:2008/05/17(土) 18:06:59 ID:aM51ze7e0
不意に背筋が粟立った。
強烈なおぞけが、背骨のあたりから手足の先へとゆっくり広がってくる。
指先がぴりぴり痺れる。
吹き出た汗がぬめる。膝が震えだす。俺は懐中電灯を取り落としそうになった。
なにかが視ている。
何故かわからないがそう確信した。
叫びだしそうになったが、喉が干上がって声が出ない。
振り返ったいとこが「どうしたの?」と俺に声をかける。何も感じないのだろうか。
(何でもない)
声が出ない代わりに何とか首を振って応え、俺はぎくしゃくと3人の後に続いた。
視線は背中に張り付いたままだ。
お願いです。ごめんなさい。見逃してください。助けて、助けて、助けて。
正体のわからない誰かに心の中で謝り続けながら、俺は必死で歩きつづけた。
視線がやっと外れたのを感じたのは、小道の出口を曲がった時だった。
がくりと力が抜け、俺は滝のように汗を流しながらぜいぜいと喘いだ。
いとこや友達は最後まで何も感じなかったようで、不思議そうに俺を見ていた。
家に帰り着くとちょうど親父が風呂に入っていたので、
着替えもタオルも持たないまま風呂場に直行して一緒に入った。
親父は一緒に風呂に入るのは久々だと暢気に喜んでいたが、
その夜はとにかく一人になりたくなかったのだ。
眠る時も自室にいとこを呼んで寝た。
586:5/6:2008/05/17(土) 18:11:36 ID:aM51ze7e0
あくる日。
俺といとこは家人のばたばたという慌てた足音で目を覚ました。
眠い眼をこすりながら部屋を出て母親に訳をたずねると、
近所に1人で住んでいた男が自殺しているのが見つかったと言う。
「自殺って・・・どこで?」
恐る恐る尋ねた俺に、母親は顔を曇らせ、声を低くして言った。
「昨日の夜、ご両親のお墓の横の木で首を括ったのよ」
現場は昨日行った墓場だった。
俺は泣き叫んだ上に吐いた。いとこは自分の親の部屋に駆け込んで号泣。
当然後で事情を聴かれ、2人揃って死ぬ程怒られた。
587:6/6:2008/05/17(土) 18:13:12 ID:aM51ze7e0
後で知ったことだが、その男はこの村に住んでいたある夫婦の息子で
東京の会社に就職して出て行ったが、
慣れない都会暮らしがうまくいかず、仕事も行き詰まったために
精神的に不安定になり会社を辞めて村に帰ってきていた。
しかし年老いた両親は程なくして亡くなってしまった。
近所の助け合いがよくある地域ではあったが、
男は家に引きこもって周囲と交流を持つこともなく
ますます孤独になっていったという。
そして昨日、盆に両親の弔いを終えた男は
遂に孤独に耐え兼ねて自らの命を絶ったそうだ。
この件があって、いとこ一家は東京に帰る日程を早めることになり
翌日の朝早くに出発していった。
残された俺や友達2人は、しばらくの間男の祟りを本気で恐れて脅えていたが、
小学校を卒業して引っ越して現在に至るまで、遂に何も起こることはなかった。
今後もどうかそうであってほしい。
だが、今にして思うことがひとつある。
あの時俺が感じた視線が「既に死んだ人間」からのものであった場合と、
すべてに絶望し、これから死を選ぼうとする「その時は、まだ生きていた人間」のものであった場合、
どちらのほうが本当に恐ろしいだろう、と。
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長文失礼。
俺がまだ小学生だった時のこと。
その頃俺は、東北地方のど田舎の村に住んでいた。
米どころで、家の前には広大な水田が広がり
そこに水を引く水路が流れるさらさらという音が心地いい場所だった。
そんな俺の家から車で5分ほどの近所に墓地がある。
ここら一帯の農家の先祖代々の墓がたちならぶその墓地は山の中腹にあって
木々が鬱蒼と茂り、昼間でも暗い場所だった。
俺が生まれた頃にはさすがになかったが、
昔は土葬が普通だったと聞かされたことがある。
そんなこともあって、いくら冒険大好きな田舎のガキどもも、
すすんで墓場に近づくことはしなかった。
ある夏。
東京に住んでいた同い年のいとこが、盆休みに俺の家に泊まりに来た。
いとこのする東京の話は興味深くて、俺は熱心に耳を傾け、
またその見返りに、でかいカブトムシやクワガタが取れる場所を教えてやったりして
楽しく過ごした。
親戚一同で墓参りにも行った。
都会のきれいに整備された墓地とは違うおどろおどろしい雰囲気に
いとこは興味をひかれたらしく、目をきらきらさせて
「●ちゃん(俺)、ここなんか幽霊でそうですげーよな!」
などとのたまい、おばさんに不謹慎だと拳固をくらったりしていた。
583:2/6:2008/05/17(土) 18:04:36 ID:aM51ze7e0
その日の夜のこと。
縁側でばーちゃんの作ってくれた氷ぜんざいを食っているとき、
いとこが不意に「墓場に肝試しに行こうぜ」と言い出した。
俺は「やめとこうよ、でないとまたおばちゃんに叱られるぞ」となだめたのだが、
田舎という非日常空間に放り込まれてテンションの上がったいとこは中々聞き入れない。
しまいには「●ちゃんだってどうせこっちの友達と肝試ししたりしてるんだろ、俺もやりたい」
「カブトムシのいるところだって教えてくれたんだから、いいじゃんか」
などと言い出す始末。
引くに引けなくなった俺は友達数人に電話して声をかけてみた。
(電話で仲間を募るふりして、「こっちの奴等だってそんなおっかないことはしない」と
説得してもらうつもりだった)
すると妙な具合に「東京モンに田舎の凄さを教えてやるぜ」と意気込む阿呆が2人も釣れてしまい
肝試し開催があっさり決定。
めいめい懐中電灯を手にウチの玄関に集合して墓場へと出発した。
車で5分の距離でも子供の足で歩けばそれなりに時間がかかる。
その道中は東京のテレビ番組の話をいとこにねだったりして楽しく駄弁っていたのだが
墓場が近づくに連れて段々無言になってしまった。
集落から山の方に入っていく未舗装の小道へ折れた時には完全に喋る気力がうせた。
虫や蛙の声がいやに響いて聞こえる。
暗い。………怖い。
しかしここまで来て「やっぱ怖いから帰ろう」なんてへたれたことは
口が裂けても言えない。
覚悟を決めた小学生4人組は、虚勢を張りつつも小道をずんずん進んでいった。
584:3/6:2008/05/17(土) 18:05:30 ID:aM51ze7e0
そして遂に墓場に到着。
その日はよく晴れて、来る途中は満天の星が瞬いていたのが
ここでは木々に遮られて一つも見えない。まさに真っ暗闇だ。
風もあまり届かず、脂汗と冷や汗があいまって何とも気持ちが悪い。
俺は全力で帰りたかった。
しばらく4人無言でいたが、なけなしの勇気を振り絞り
とりあえず墓場を一周してみることにした。
墓場は結構広く、しかも山の斜面にあるので傾斜がきつく歩きにくい。
しかも土葬時代の名残なのか、
墓石がなく土盛りの後ろに卒塔婆を立てただけの最強に気味悪い墓も結構ある。
あの土を掻き分けてぼろぼろに腐った腕がのぞいたらどうしよう、とかいう想像が
俺の頭の中を駆け巡る。
怖い。怖い。怖い。
しかし、想像に反して墓場は沈黙を保ったままだった。
10分ほどの恐怖の行軍を終えて墓場の入口に戻ってきた俺たちは、
「たいしたことないぜ」「拍子抜けだな」等と
心にもない虚勢を張りながら笑い合った。
「肝試しも終わったし、もう帰ろうぜ」
友達の言葉に全員が頷き、墓場に背を向けて歩き出した、
そのときだった。
585:4/6:2008/05/17(土) 18:06:59 ID:aM51ze7e0
不意に背筋が粟立った。
強烈なおぞけが、背骨のあたりから手足の先へとゆっくり広がってくる。
指先がぴりぴり痺れる。
吹き出た汗がぬめる。膝が震えだす。俺は懐中電灯を取り落としそうになった。
なにかが視ている。
何故かわからないがそう確信した。
叫びだしそうになったが、喉が干上がって声が出ない。
振り返ったいとこが「どうしたの?」と俺に声をかける。何も感じないのだろうか。
(何でもない)
声が出ない代わりに何とか首を振って応え、俺はぎくしゃくと3人の後に続いた。
視線は背中に張り付いたままだ。
お願いです。ごめんなさい。見逃してください。助けて、助けて、助けて。
正体のわからない誰かに心の中で謝り続けながら、俺は必死で歩きつづけた。
視線がやっと外れたのを感じたのは、小道の出口を曲がった時だった。
がくりと力が抜け、俺は滝のように汗を流しながらぜいぜいと喘いだ。
いとこや友達は最後まで何も感じなかったようで、不思議そうに俺を見ていた。
家に帰り着くとちょうど親父が風呂に入っていたので、
着替えもタオルも持たないまま風呂場に直行して一緒に入った。
親父は一緒に風呂に入るのは久々だと暢気に喜んでいたが、
その夜はとにかく一人になりたくなかったのだ。
眠る時も自室にいとこを呼んで寝た。
586:5/6:2008/05/17(土) 18:11:36 ID:aM51ze7e0
あくる日。
俺といとこは家人のばたばたという慌てた足音で目を覚ました。
眠い眼をこすりながら部屋を出て母親に訳をたずねると、
近所に1人で住んでいた男が自殺しているのが見つかったと言う。
「自殺って・・・どこで?」
恐る恐る尋ねた俺に、母親は顔を曇らせ、声を低くして言った。
「昨日の夜、ご両親のお墓の横の木で首を括ったのよ」
現場は昨日行った墓場だった。
俺は泣き叫んだ上に吐いた。いとこは自分の親の部屋に駆け込んで号泣。
当然後で事情を聴かれ、2人揃って死ぬ程怒られた。
587:6/6:2008/05/17(土) 18:13:12 ID:aM51ze7e0
後で知ったことだが、その男はこの村に住んでいたある夫婦の息子で
東京の会社に就職して出て行ったが、
慣れない都会暮らしがうまくいかず、仕事も行き詰まったために
精神的に不安定になり会社を辞めて村に帰ってきていた。
しかし年老いた両親は程なくして亡くなってしまった。
近所の助け合いがよくある地域ではあったが、
男は家に引きこもって周囲と交流を持つこともなく
ますます孤独になっていったという。
そして昨日、盆に両親の弔いを終えた男は
遂に孤独に耐え兼ねて自らの命を絶ったそうだ。
この件があって、いとこ一家は東京に帰る日程を早めることになり
翌日の朝早くに出発していった。
残された俺や友達2人は、しばらくの間男の祟りを本気で恐れて脅えていたが、
小学校を卒業して引っ越して現在に至るまで、遂に何も起こることはなかった。
今後もどうかそうであってほしい。
だが、今にして思うことがひとつある。
あの時俺が感じた視線が「既に死んだ人間」からのものであった場合と、
すべてに絶望し、これから死を選ぼうとする「その時は、まだ生きていた人間」のものであった場合、
どちらのほうが本当に恐ろしいだろう、と。
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