SSブログ

ニタニタ笑う女 [洒落にならない怖い話27]

数年前ある地方の営業所に出張したときの話。
終業後飲みに連れていってもらい、終電の車内で寝過ごしてしまった。
宿まで二駅だし、タクシーで帰ることにしたがなかなかつかまらない。
しばらく歩いていると、空車のタクシーがこちらに走ってくるのが見えた。

待ってましたとタクシーを停めて乗り込んで気がついた。
後部座席の奥にすでに女が座っている。
乗り込むまではまったく気がつかなかった。
相乗りか?田舎ではそういうこともあるのかな?と自分なりに納得した。

運転手に聞かれるまま目的地を告げ、タクシーは走り出した。
横目でチラリと女を見ると、かなりの美人であることに気がついた。
しかしなぜかニタニタと薄笑いを浮かべており、気味が悪かった。

運転手は多弁な男であり、いろいろと話題をふられた。
俺も嫌いではないのでそれにのってとりとめもない会話をした。
しかし、運転手は女に話をふることはなかった。
女はやけにタバコ臭かった。

車内が、ではなく明らかに女がタバコ臭かった。
若い女にしては珍しく、カバンなどを持っている様子がなく、手ぶらのようだった。
十五分ほどでホテルに着いたが、女はなにも声を発することなく、
俺の方を一度も見ることなく、終始歯茎を見せながらニタニタとしていた。

降りたあと、閉じたドア越しに車内を見て驚いた。
そこに座っていたはずの女がいなかった。
タクシーはしばらく進み、Uターンして道を引き返していった。
標示はまた空車だった。

スポンサーリンク




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。