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猫と排水管 [洒落にならない怖い話18]

自分がまだ小さい頃のこと。
近所では沢山の猫を見かけたんだ。
町営の団地に住んでいて排水溝などの設備もあった。

高低差がある場所などはコンクリで覆ってあって、
地面から1メートル以上も高くなっている事もあった。
小さい自分はそのコンクリの壁をよく見上げたものだ。
ある時、近所の猫を後ろから追いかけていた。

そしてコンクリの壁に開いている配水管に
猫が入っていくのを自分はそのまま追いかけた。
排水管を覗き込むと猫がこちらを振り返って見ている。

目線を送り配水管の向こう側をみると地面があり、
草も生えていてまるで春のような感じの場所があった。
小さい自分はその光景を目にして心の中で
「ああ、いいなあ…ここをくぐれたら行きたい」と思った。



822:猫と排水管:2008/02/05(火) 07:34:46 ID:JDiI3Kb10
ずっとその事が気になったまま、時だけが流れ…
最近になってふいっとその場所に通りかかる事があって
そうだ、あれはどうなっているのだろうかと確認すると…
排水管の先は真っ暗で何も無かった。
排水管は地中に埋まっていて覗き込んでもただ暗いだけなのだ。

しかし、未だにあの光景を忘れる事が出来ない。
ひょっとしたら、猫だけが行ける世界があるんじゃないかと。
今でも、心の中でひっそりと信じている。

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