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空に浮く鳥居 [洒落にならない怖い話12]

流れぶった切って、
俺が体験した話であまり怖くないかもしれないが、
ちょっと前の仕事が休みだった日、
原付でうちの裏山を走ってたんだよ、
そしたら空にぽっかりと
赤い鳥居が2つ並んだ状態で浮いてるんだよ、

赤い鳥居が浮いてるっていうより
宙にぼやけてるって感じかな。
道なりにその鳥居があったから
走り抜けたんだよね。
だからちょうどくぐった感じ。2つとも。

家に帰ってその日は普通に過ごした
問題は次の日からで、高熱が出て
薬を飲んでも病院に行っても
熱がさがらないんだよ、
母親が、何か最近変わったことはなかったかと聞かれて
息も絶え絶えで鳥居の事を話したんだよ
そしたらうちの母親が血相を変えて
Aさんに連絡しないと!!!!って電話してた。
Aさんってのはユタ(うちの地方じゃ呪い師みたいなもの)だ。



357:本当にあった怖い名無し:2009/06/15(月) 15:40:34 ID:seXYTfG80
ほどなくしてAさんがやってきて
俺をみるなり、「あぁ、これは相当やられてるね・・・」
って言って来たんだよ、
何にやられてるのか何をやられてるのか
全く聞けなかった。身体が動かなくて
声も出なかったんだよ、
それなのに、家の仏壇の前に寝かされて
Aさんがもってきた酒やら米やらを仏壇に並べ始めて
「鳥居を2つくぐったんだね?」
と聞いてきたからかすかに頷いた。

「あんたの先祖に守ってもらうように今から頼むけど
 それが出来なかったらあんたは悪いけど
 ここで命が切れてしまうよ」
と、物騒な事を言うんだよ。
Aさんはなにやら呪文みたいな言葉を唱え始めた
俺が聞き取れたのは「マジムン」「グソー」「ニライ」の
3つだけで呪文みたいなものが書かれた紙で
体を叩かれておしまい。
Aさんが「どうにか切り抜けた。あんたよかったね、
     毎年墓参りにちゃんと行ってて」
て行ってきた。
俺、何となくなんだけど、墓参りだけは
親と一緒に行くのを欠かさなかったんだよ、
それが幸いしてたらしい。



358:本当にあった怖い名無し:2009/06/15(月) 15:41:17 ID:seXYTfG80
で、Aさんが「次に鳥居を見たらすぐに離れること 
       絶対くぐってはいけないこと」
と言い残して去って行った。
次の日、嘘みたいに熱が下がっていた。

母親に、どういう事か聞いてみたら
「世の中知らない方がいい事もある。」
と、最初取り合ってくれなかったが
しつこく聞いてみたら
・俺の家系に関係している
・鳥居をくぐったら8割の確率で死ぬ
・鳥居の数はその人が生きた年数に応じて違う
・雨の日は鳥居は出ない
としか教えてくれなかった。
これが今まで平和に暮らしてきた
俺の唯一の洒落にならなかった話。
読んでくれてどうもありがとう。

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