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 [洒落にならない怖い話7]

厳密に言うと、この話は俺が「洒落にならない位怖い」と思った体験ではない。
俺の嫁が「洒落にならない位怖い」と思ったであろう話である。

おれの嫁は俗に言う「みえる人」で、俺は2ちゃんでいう「0感」。
嫁がまだ恋人の頃、見える人である事を俺に明かし、その後しばらくの間
「あそこに女の人が居る」だの「今足だけが階段を昇っていった」だの言い出し、
俺が本気で遺憾の意を表明した時から一切それ系の実況をしなくなった。
だがつい先日、何故か俺にもはっきりと不可思議な物が見え、
その時の嫁の反応を以ってここに投下し得る話と思い、書いてみる事とする。


873: 本当にあった怖い名無し:2010/05/18(火) 23:59:58 ID:+tknK7QW0
山菜採りが好きな俺と嫁は、いつもの如く山道を車で通行していた。
しがない自営業の俺等は、昨今の不況の折に開き直って、
平日の昼間に日がな半日程度、山菜採りに精を出していた。

比較的心地よい疲れに伴い、今日の夕飯は何かな、天婦羅はもう暫く要らないな。
とか思いながらボケっと運転していた夕刻。
自分の車の前を走る、シルバーの軽。暑い日だったので、前を走る軽の助手席の窓から
手が生えて見える。運転者は老齢であろう、決して生き急いでないのが見て取れる様に
40k巡航である。ここまではよくある光景で、次のストレートで追い越しかけるか、と思っていた
その矢先、嫌な事に気付いて、しまったと思った。

その軽の助手席の窓から「手」が生えて見える。「腕」じゃなく、「手」。
指まではっきりと認識できる、バナナよりも巨大な手が、前を走る軽の窓枠をがっちりと掴んでいる。
嫁はともかく、今までそんなものが見えた事のない俺は総毛だった。
すぐさま嫁にに視線を移すと、以前はこういう不可思議な現象に対しても
ヘラヘラ笑いながら俺に実況していた嫁が、目を見開いて硬直している。
常時見えている人間にとっても只事では無い事例であろう事が、0感の俺にも容易に推測できた。
そしてその「手」はこちらの熱視線に気付く風でもなく、新たな行動をし始めたのだ。


874: 本当にあった怖い名無し:2010/05/19(水) 00:01:51 ID:+tknK7QW0
その「手」は、掴んでいた窓枠を離し、にゅーっと虚空に伸び始めた。
その手首には、タイの踊り子の様な金色の腕輪が付いている。
肘が車外に出ても伸び続け、肩の手前位まで車外に出した。

とんでもなでかさ。そして、やにわに
自分が乗っている軽の天井を叩き始めたのだ。
「ぼん、ぼん、ばん、ばーん、ばん、ばーん」という音が、
すぐ後ろを走る俺等にも聞こえてくる。

そのときの俺はというと、目の前で起こっている映像に脳の認識がついていかず、
ただそのままぼーっと軽を追従していた。
「停めて!!!」
嫁の悲鳴交じりの声が、俺に急ブレーキをかけさせた。前輪が悲鳴を上げ、
前のめりのGを受けながら、俺の車は急停止した。
今まで眼前にあった、自分の車の天井を叩き続ける巨大な手を生やした軽は、ゆっくりと遠ざかっていき
その先のカーブから見えなくなった。


875: 本当にあった怖い名無し:2010/05/19(水) 00:03:15 ID:UzhH9m/U0
夕暮れに立ち尽くす俺の車。嫁は頭を抱え、小刻みに震えている様にも見える。
俺も小便がちびりそうだったが、努めてなるべく明るく、嫁にまくしたてた。
「なんだよ?お前いっつも笑って解説してたじゃん。あんなのいつも
見てたんだろ?今回俺も見えたけど、すげえなあれは。」
暫くの静寂のあと、嫁が口を開いた。

「・・・・・あんなの、初めてだよ。・・・・アンタは、気付かなかったろうけど。」
「なにがよ?」
「あの腕。邪悪な感じがしない。かなり上位の存在だよ。」
「・・・じゃあ良い霊とか、神様じゃね?運転手が悪い奴で、なんかそんなんじゃないの?」
「そんな訳無い、絶対におかしい。あんな上位の存在が、あんな行動するわけがない。
やっている事は悪霊そのもの。だけどあの腕は光に包まれてた。
分からない。自分の無知が怖い。・・・怖い。頭がおかしくなりそう・・・」

嫁の話を聞いていると俺も頭がおかしくなりそうだったので、わざわざUターンして
その現場から離れ、実家には帰らずに居酒屋に直行、二人で浴びるほど酒を呑んで、近くのビジホで一泊した。、

あの手は一体何だったのか、俺は未だに全く理解できない。
ただ、あんな体験はこれっきりにしたいもんだ、と心底思った。

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死者の通り道 [洒落にならない怖い話7]

これは母から聞いた話です。
私の曽祖父、つまり母の祖父が亡くなったときのことです。
曽祖父は九十八歳という当時ではかなりの高齢でした。
普段から背筋をぴんと伸ばし、威厳ある老人だったとのことです。

しかしそんな曽祖父も老衰には勝てず、床に着くようになりました。
曽祖父は、母の住む家のごく近所に住んでいたため、
母の母、つまり祖母が看病に通っていました。

母は当時高校生で、曽祖父が亡くなった日も学校へ行っていました。
一週間くらい前から、そろそろだと言われていたそうですが、
まだ大人でない母に、人の死に目など見せないほうが良いという祖母の判断で、
母は曽祖父の床へは近づくことを許されませんでした。

学校から帰った母は、自分の部屋で畳の上に仰向けになり、
とりとめもない考え事をしていました。
一時間にいっぺん、ぼーんぼーんと、居間にある柱時計の音が聞こえてきます。
(いま、何時だろう)
そう思って母が、机の上の置時計を見上げた瞬間でした。
(あっ!)
体の自由がききません。視線以外はまったく動かせないのです。
(これは金縛りだ)
この事実に少し混乱しましたが、それと同時に母は曽祖父のことを思い浮かべました。
(まさか、おじいちゃん……)
すると、曽祖父の家がある方向の壁から突然、白い馬の首が現れました。

馬はそのまま、壁を抜けて母の部屋に入ってきます。
白い馬は、着物を着た人を乗せていました。
何もかも真っ白で、額には三角頭巾。幽霊の装束です。
幽霊を乗せた白い馬は次から次へと現れ、全部で六頭になりました。


786: 本当にあった怖い名無し:2010/05/16(日) 18:54:28 ID:/rhVV16S0
彼らはゆっくりと、重々しく進んで行きます。
真っ白な着物のたもとが、風になびくように揺れています。
その集団が母のすぐ側まで来たとき、その中の一人が母の方を見ました。
(おじいちゃん!)
それはまぎれもなく曽祖父の顔でした。

曽祖父は威厳に満ちた穏やかな、しかし感情のない顔で、
しばらくの間ただじっと、母を見ていました。
やがて曽祖父は前を向いてしまいました。
その時になってようやく、母は首なら動かせるようになっていました。
彼らがどこへ向かっているのか気になって、母は首をめぐらせて彼らの行く方向を見ました。

部屋の反対側の壁へ消えて行くのかと思いきや、彼らの進む方向には穴がありました。
ぽっかりと、灰色の渦のような、異次元への入り口を思わせるような穴でした。
(おじいちゃん、死んでしまったんだ)
その穴を見た瞬間、母ははっきりとそう思いました。

母が見ている前で、彼らは静々と進んで行き、やがてその穴の中へ消えてしまいました。
彼らが消えると同時に、母の金縛りも解けました。
そしてその日の晩、母は曽祖父が亡くなったことを知ったのでした。
亡くなった時刻はちょうど、母が金縛りにあっていた時刻だったそうです。

この話には、すこしおまけがあります。
後年のことですが、機会があって、母は友人と金縛りの体験について話をしたそうです。
その友人の旦那さんは、頻繁に金縛りにあう方で、
親戚の誰かが亡くなると必ず金縛りにあい、しかもその間、
亡くなった人が穴へ吸いこまれていくのを見るとの話でした。

穴、と聞いて、母が自分の体験談を話すと、友人にその穴の絵を描くよう言われました。
旦那もそんなような穴だと言っていたから、と言うのです。
母は近くにあった子供用のクレヨンで、その穴の絵を描きました。
帰宅した友人の旦那さんにその絵を見せると、その穴はまさに、旦那さんが見る穴にそっくりだったそうです。

スレチ感もありますが、自分としては死後の世界への扉が、
非常に身近に感じられ、怖かったのでカキコします。
長文乱文失礼しました。
そして読んで下さってありがとうございました。

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目のない人 [洒落にならない怖い話7]

最近『目のない人』をよく見かけるようになった。
普通の盲目者ではない。眼のある位置に、やたら大きく、黒い空洞がある人だ。
街角の、何気ないところに立っていて、少し離れた場所から俺をじっと見つめている。
俺からは、たいてい見え辛い距離にいるんだけど、目の空洞はなぜか良く分かる。
多分俺はいつか失明するのだろうけど、仕方ない。
俺の家は、ぶっちゃけた話呪われているのだ。


584: 本当にあった怖い名無し:2010/05/11(火) 02:30:23 ID:heQnbitS0
話しづらいことだけども。
俺の父は幼少期、とある小さな山村で暮らしていた。
だが、祖父の兄のTという男が、隣人を殺したことで、一族ごと村八分にあい、
逃げ出すように引っ越した。引越し先が、いま俺の住んでるこの家なんだけど。
殺人犯のTなんだけど、祖父が言うにはこれがどうしようもない男だったらしい。

酒を飲んでは、見境無く女に手をだしていたそうだ。
放っておくと、人妻であろうが幼女であろうが強姦する男だったので
まわりにいる良識ある誰か、大抵は祖父だったのだが、Tを止めなければならなかった。
しかし、そうするとTは激怒し、暴れだしていた。止めようとした人間に、ひどい暴行を加えていたそうだ。
Tは体がとにかく大きく、喧嘩の強い人間だったため、一度激怒すると誰も止めることはできなかった。


585: 本当にあった怖い名無し:2010/05/11(火) 02:32:15 ID:heQnbitS0
隣家の家長のKが殺されたのは、Tを止めようとしたのが原因らしい。
奥さんをTに強姦されそうになり、堪えかねてTを殴ってしまった。これがTの逆鱗に触れた。
Kを殴り倒してのしかかり、ひたすら殴り続けた。
Kの家族は、Tの怖さに震えるばかりで、何もできなかったそうだ。

Kは、動かなくなっても殴り続けられた。顔は、文字通り潰れ、およそ二倍の大きさまで膨れ上がる。
顔中に紫色の痣が出来、もはや誰の顔だか判別できないほど変形させられたそうであった。
Tは、最後に、何を思ったか、ピクリとも動かないKの顔から、両眼球をえぐりだした。

そのまま、目玉を酒瓶に入れ、どこかに持っていってしまったそうだ。
その目玉は、帰る途中で酒瓶ごと、川に投げ捨てた、とTは言った。そのまま目玉は行方知れずとなった。
俺の祖父一家は、お詫びの意味もこめ目玉を探したが、結局見つからずじまいだった。
この一件のために、俺の一家はいわば目玉の呪いというものに受けたそうだ。


586: 本当にあった怖い名無し:2010/05/11(火) 02:33:22 ID:heQnbitS0
Tは、俺が生まれた頃に、酷い病気にかかった。目玉が、両方腐り落ちてしまったそうだ。
原因は不明である。Tはそのまま病死した。
その頃、祖父も目の病気に罹り右目を失明した。ほどなくして左目の光も失ってしまった。
父は、現在進行形で目の悪い病気にかかっている。
治る見込みはなく、視力がどんどん弱まり失明していくだけらしい。

俺は、まだ目の病気をもっていない。が、最初に言った目のない人は良く見かける。
いまだ危害を加えられたり、近くに寄ってこられたりはしていないが、彼を見かける度に背筋が凍る。
弟も、目のない人を見かけたことがあるという。父も、俺と同じ年のころ良く見かけたそうだ。
目のない人=Kなのかは、俺には良く分からない。けどなんとなく実感している。
これが呪いって奴なんだな、と。

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