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時間が止まる [洒落にならない怖い話15]

実体験した話
別に怖いってわけでもないし、今はそんなこと全然起きなくなったが、とりあえず聞いてくれ
俺は小さい頃、よく「時間が止まる」現象を体験していた
なんの前兆もなく、突然「ピタッ」って感じで時間が止まるんだ

これはその時間が止まったときに体験した話
10年くらい前、俺が小学校3年の秋ごろ、家族で外食して帰る途中だった
みんな自転車に乗ってて、両親・兄貴・俺の順で走ってた
十字路で左に曲がれば下り坂ってところで、突然自転車が「ピタッ」って止まったんだ

別にブレーキかけたわけでもなく、本当に「ピタッ」って感じ
前を走ってる家族も、凪いでいた風も止まって、
「え?あれ?何これ?」って不思議に思ってたら、
右側前方の民家の玄関先に、女の人が立ってるのが見えた
冬物のセーラー服を着て、スカートは足首まで隠れそうなくらい長く、
10年前とはいえ明らかに今時の女子高生って感じじゃなかった

その時は横を向いていたんで顔は分からなかったが、
俺がふっと下を向いてもう1度見直したとき、
その女の人はいつの間にか体全体を俺に向けてこっちを見ていた
女の顔色は異様なまでに悪く、目は虚ろで、目の下にはクマがあり、口は半開き、
どう見ても健康な人間じゃなかった

何よりも不気味だったのは、右の袖が風もないのにフラフラ揺れてたことだった
よく見ると右腕がない・・・・・「ヤバイ」と直感的に悟った俺は目を逸らして自転車を漕ごうとした
その時に頭の中で「プチンッ」って音がして、
前にいた両親と兄貴が何事もなかったかのように走り始めた

俺もそれを追いかけるように走って、
曲がる直前にさっきの女の人を見ようとしたけど、そこにはもう誰もいなかった

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