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コックリさん [洒落にならない怖い話5]

小学生の頃

放課後、友人Tと校庭での遊びを終え教室に戻ると、
オカルト好きなB子と数人の女子が、コックリさんをやっていた。
当時『学校の怪談』と言う本が馬鹿売れしていて、ちょっとしたブームだった。

中でもB子は自称霊感少女であるらしく、
「コックリさんをやる時は、私がいれば大丈夫。何か取り憑いても、私が御祓いしてあげる」
と言って、みんなから慕われていた。

Tは「アホくさ」と軽蔑したような顔で女子を睨み、
「コックリさんなんているわけねーじゃん」と喧嘩を売り始めた。
するとB子は、
「そういう事言わない方がいいよ。呪われちゃうよ」と応戦。
「はっ?馬鹿じゃねえ?俺んち寺やってるから周り墓地だけど、人魂の一つも見た事ねえよ!」とTが吠えます。

すると女子の中の一人Cちゃんが、
「でも、これ勝手に動くんだよ・・・嘘じゃないって」
と怖がりながら、コックリさん体験を話す。
そうよそうよと女子たちが調子に乗り出し、「だったらK君(僕です)とTも一緒にやろうよ」と言い出した。

Tは「上等だよ」とやる気まんまん。
僕は恐がりだったので遠慮すると、「じゃあKは先に帰ってろよ」とT。
帰っても良かったんだけど、僕はCちゃんの事が好きだったので、残って見ている事にしました。


609: 本当にあった怖い名無し:2008/09/25(木) 17:08:58 ID:CEzk0ISA0
いざコックリさんが始まりましたが、僕はCちゃんの事ばかり気にしていて、あまり経過を見ていませんでした。
憶えている事と言えば、10円玉が動いた際、
Tの「誰だよ動かしてんの。わかってんだぜ」と言う声がしきりに聞こえていました。

時間も経ち、例の「コックリさんお帰り下さい」のくだりへきました。
すると、怖い話で良く見かける『NO』を繰り返し、帰ってくれないとい事態になりました。
見守る女子が動揺し始めると、B子は「大丈夫。私の霊感で何とかするわ」と、インチキ臭い事を言い出す。

Tはその状況を馬鹿にしたような笑みで見つめ、
「はいはい。終り終わり」と、コックリさんの紙をぐしゃぐしゃに丸め投げたのです。
「ちょっとあんた!何やってんの!」と怒るB子。
「これで俺呪われたんだろ?へっへっへ。どうせ何も起きないけどな」とフラグを立てるT。

どうして良いのかわからず混乱する女子たち。
ちょっと涙ぐんでいるCちゃん。
Cちゃんに「大丈夫だよ」と言ってやりたい僕。
そんなこんなで、混乱しつつもお開きになり、帰宅する事になった。


610: 本当にあった怖い名無し:2008/09/25(木) 17:09:49 ID:CEzk0ISA0
その日の夜、Tの家に泥棒が入った。
学校では「呪いのせいじゃない?」と噂されていたけど、
「何で呪いが盗みするんだよ。あほか」とTは余裕だった。
何でも、大した被害はなかったらしい。
僕も、これはさすがに偶然だろ、と思っていた。

数日後、Tが車に撥ねられた。
Tの自転車はタイヤに潰されたが、Tにはかすり傷すらなかった。
これは呪いのせいだろと思ったけど・・・

Tは「いや、完全に俺の不注意。曲がり角かっ飛ばしてったからな」と笑っていた。
何でも、その曲がり角では、前々から何度もぶつかりそうになっていたとか。
「あれだな。ああいう時って、スローモーションに感じるって本当だな!ノロイのせいか」
などと冗談ぶっこいていた。

更に数日後、男友達数人で鬼ごっこをして遊んでいた時、Tが階段を踏み外し下まで転げ落ちた。
みんなその場で凍って、「あわわ」になってしまった。
もしかして何者かに突き落とされたんじゃ・・・と思った。

が、Tはピョンと立ち上がり、
「危ねえ!階段の途中に犬の糞があった!踏まないようにしようとしたら落っこちたぜ!」と爆笑。
僕たちも安堵と面白さに爆笑。
Tは擦りむいただけで済んだ。

更に数日後、図工の時間、Tは彫刻刀で指を怪我した。
「呪いだ!!」とみんなが騒いだ。
B子が「T君の手を掴んでいる白い手が見えた」と言って怯えたが、
Tは怪我した指を見せびらかせながらプゲラっと笑った。

勝手に手が動いたとかそんなんではなく、
指を広げて置き、指の間をトントン彫刻刀を行き来させる、度胸試しに失敗したからだった。
(エイリアン2で、ヒューマノイドがやってたやつです)
ただ、普段面白い人気のあった先生にこっぴどく怒られ、凹んではいた。


611: 本当にあった怖い名無し:2008/09/25(木) 17:11:34 ID:CEzk0ISA0
その他にも、Tの身に色々な事故怪我はあったけど、呪いなのかと言われればどれも微妙だった。
学校では「Tは呪われているが、それ以上に強い守護霊に守られている」と噂された。
ただB子だけは、「呪われている」と言い続けた。

ある日、遠足にて川辺の飯盒炊飯をやっていた。
「川には入るなよ」と先生は言っていたが、そう言われて守る者もいなく、
食後にはみんな川に入ってばしゃばしゃ遊んだ。
比較的穏やかな流れだったし、そんなに深い場所もなかったので、先生も笑って見ていた。

しかし、事故が起きた。
B子が溺れたのだ。
川の底にあったガラスの破片を踏んでしまい、パニクったそうだ。
助けたのはTだった。
「呪われているのは私かもしれない・・・」と泣きじゃくっていたが、
Tが、
「心配すんな。呪いなんかないって。それに呪われるんなら俺だろ?お前は平気だよ」
と励まし、安堵したようだった。

それ以来、B子はオカルト的な事を言わなくなったし、Tの事も悪く言わなくなった。
というか、絶対好きになってた。

ある日、Tと二人で帰っている時に、
「ねえ、T君は怖くないの?やっぱ呪いって嘘かな?」と僕は聞いてみた。
Tはちょっとだけ真面目な顔になって、「誰にも言うなよ」と前置きをすると、
「実はあのコックリさんやった日によ、夢の中に狐が出てきた。

んでビビってさ、父ちゃんにお経唱えてもらって、近くのお稲荷さんに油揚げ持っていった。
だけど、その後でも俺、怪我とかしてんだろ。
ってことは、呪いのせいなんかじゃなくて、ただ単に俺が不注意だってことじゃん」
と言って、Tは恥ずかしそうに笑った。
良く解らなかったが、何となく納得した。

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